Glen+TBS CROSS DIG
https://www.youtube.com/watch?v=gTWqbdfTc2g
TBS CROSS DIG
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対談サマリー
1. プルラリティ(多元性)とは
技術と民主主義は対立ではなく表裏一体。
多様性(diversity)は“世界に既にある事実”、プルラリティは“その多様性を創造に転換するエンジン”。
分断の火種を、制度設計とテクノロジーで「進歩の燃料」に変えるという発想。
2. 台湾が示したモデル
曖昧な地政学的位置づけとIT産業依存が「新しいナショナルモデル」創出の原動力。
唐鳳(オードリー・タン)氏のリーダーシップ:
オープンソースと市民参加型合意形成プラットフォームで政策を共創。
18歳未満でも法案起草に関与できる仕組みを整備。
コロナ期のマスク政策やワクチン接種チームなど、対立構造を“チーム戦”に置き換えた事例。
3. 日本・アジアの可能性
歴史的に「輸入した民主主義」を柔軟に再解釈してきたため、制度刷新への心理的ハードルが低い。
東洋哲学に根差す“重層的・関係志向”がプルラリティ的発想と親和的。
安野貴博氏の「ブロードリスニング」:
都知事選直前にOSSで構築し、市民の意見収集とAIによる論点整理を実現。
選挙には敗れたが手法は高評価され、東京都の長期計画作りに参画。
4. 投票・意思決定のイノベーション
「1人1票」は原始的。目的はあくまで「平和的な権力移譲」。
政党や属性を横断して協力した方が意思決定しやすいルール設定(例:異なる党同士で可決要件を緩和)。
二次的提案:
「クアドラティック・ボーティング(QV)」で票を分配し、極端化を抑制。
ネットワーク構造を活用した階層型・流動型代表制(液体民主主義など)の実装検討。
5. 教育と若者エンパワーメント
“デジタルリテラシー”ではなく“デジタル・コンピテンス”:
学生がフォント開発やファクトチェックに実戦参加。
地域企業に若者が“デジタル変革支援者”として入り、相互に学び合うプログラム。
投票権を持たない世代も、政策提案プロセスに深く関わることで実質的な影響力を確保。
6. 希望と行動への呼びかけ
グレン・ワイル氏は「楽観/悲観ではなく主体性(agency)が鍵」と強調。
アジア、とりわけ日本・台湾・インドは、西洋型でも中国型でもない第3の民主モデルを提示できる局面。
若い世代には「失われたものを嘆くのでなく、世界に示す責任とチャンスがある」とメッセージ。
要点
プルラリティは「多様性を維持したまま協働を加速する設計思想」。台湾の実践と日本の潜在力は、その具体例と次のフロンティアを示している。制度・技術・文化を同時にアップデートし、民主主義を“スマホのように”進化させ続けることが呼びかけられた。